藁半紙一枚

Tokyo wanderer

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渋谷に


 友達からマールボロのタバコ1箱をもらった。

 

 二人ども、学校から出て、辛かった1日に嘆きながら、渋谷まで歩いていた。一度しか歩かなかった道に沿って自ずと渋谷へ進んだ。自分が方向音痴じゃないんだと自覚させた。

 いった居酒屋はこの前研究科同士の飲み会を開いたやつだ。夜10時過ぎて、店にはあまりにも人が多くて、座れるところが無いくらい天手古舞いした。日本って凄いなと感心したくてならない。

 賑やかな居酒屋に座って、タバコの煙に囲まれていて、一度タバコを吸いたかったと。へーと返事が来た。生ビールの苦さを享受したり、雑談したりして時間を楽しんで費やした。

 居酒屋から出た途端、これ、あげるよと彼女が言った。言葉を甘えることにした。

 

 渋谷駅まで歩いて、雨を浴びながら。

 日本の日常性。あの有名な横断歩道で撮影したりしている外国人。誰にナンパされるのを待つ若者。小さな雨の夜にチラチラするネオン。朝出かけ前につけた香水の余韻がする。雨に濡れた泥、空気、樹木、呼吸の爽やかな匂い。心も思わず知らずに晴れやかでさっぱりしてきた。

 友達からもらったタバコは廿何年経った人生の初めてのタバコだった。ライターを加えてワンセットになってる。

 密かに嗅ぐと、薄いミント・ブルーベリーと相まって、煙草のいい匂いがしている。

 でも今夜は雨がなかなか止まないな。

 ポケットの中に入れて、今日は吸わないと決めた。

 

 

1125

日本に来てからもう二年に達したにも関わらず何もできていない僕。

何を書こうかもわからん。日本語でダイアリーを書くのは去年の六月十五日のことだからな。

そのあと、慌てて試験の準備に入って、惨敗した。

無表情で国に帰った。が、ある大学の入学許可書を受け、糸一本トン底に引き込んでいた僕に伸ばしてきた。

 

もう一度整理整頓し、新たな旅立ちを決意した。 

それから三ヶ月経って、依然として、何もできずにダラダラしてきた僕。

 

もう廃人に決まっている。